プラスチック押出成形を楽しむ
『ND2作戦ニュース」には、「ND2作戦本部指令」欄もあり、打ち上げたロケットがND社を粉砕しているイラストも載っている。
そのロケットにも、スローガンが書き込まれている。
〈TOKIOMARINE〔T海上〕は世界のエクセレント・カンパニーを目指し、横浜支店に妙ては八八年度対ND勝利を期することでエクセレントな社員の実力を示そう!〉木一郎委員長はいう。
「入野次長は、前まえから『全損保とは交渉しない」という態度をとっており、「断わる」と拒否し、「本社でやってくれ』といってきたんです。
交渉の内容はどっちでもよい、おまえたちとは交渉しないとND2作戦は、T海上の社内で密かに開始された「宣戦布告なき戦争」だったが、「総合安心サービス」どころか、戦争の「不安」すら商売道具にした「不安サービス」というほかない。
さすがに、東京海上の足下で批判の火がついた。
全損保(全日本損害保険労働組合)は、日本の多くの労働組合が企業別に組織されている企業別組合とちがって、損保各社の労働者が個人加盟している。
問題のT海上横浜支店と傘下の支店などにも組合員がいる。
彼らのT海上支部横浜分会が、ND2作戦の参謀本部長である入野次長にたいし、ND2作戦についての交渉を申し入れた。
支店には人事部がなく、人事キーマンの入野次長が本社人事部の窓口の役割を担っていた。
同分会の青いう態度でした」日動火災トップの抗識であえなく終戦全損保には、ナチス・ドイツに見立てられた日動火災の組合員もおり、神奈川県下の横浜地協では事態を重視。
八七年一二月九日には、地協役員と日動火災の日動外勤分会役員ら一○人が、T海上横浜支店を訪ねた。
入野次長に面会を求め、〈相手をナチス・ドイツとするような憎悪の感情をかきたてるコンテストを良いと思いますか〉などという、六項目の「質問書」を手渡そうとしたが、入野次長は受け取るのさえ拒否した。
一方、全損保T海上支部は、本社人事部にND2作戦を直ちに中止するよう申し入れた。
ところが、「マンネリ化したキャンペーンを刺激するための『お遊び」だ」と取り合わなかった。
「そんなことにメクジラをたてるな」ともいったという。
並みの常識では、高等教育を受けたエリート社員が、商売を戦争ゲームにしているとは考えにくい。
商売のキャンペーンも、戦争まで「お遊び」に使わないとたちいかないというほど、異常事態になっているのだろうか。
申し入れが拒否された経過とともに、「なぜ中止を要求するのか」という一文を支部機関紙(八七年一二月一○日付)に掲載。
全損保の機関紙『全損保」(八七年一二月一五日付)が、それを売るカネ集め戦争ナチス・ドイツに見立てられていた日動火災では、S義和社長、E郁生副社長らが、ND2作戦を銃知ることになった。
日動火災の経営陣が怒り心頭に達したのは、想像に難くない。
E副社長の抗議で、詞T海上のT晴夫社長が陳謝したという。
『全損保」(八八年一月一五日付)は、「ND2作戦は中止」と日動横浜支店長以下支店幹部が東海横浜支店へ抗議。
抗議文を内容証明で郵送。
一告報じ、つぎのように書いている。
〈東海横浜支店長が日勤横浜支店長に会い謝罪し、ND2作戦中止を表明〉東内容証明で抗議文を送りつけたというのも、日動火災のN巧支店長が、T海上のS支店長に抗議章文を手渡そうとしたが、受け取ろうとしなかったからだといわれる。
また、T海上のT社長が日動火第災に陳謝したさいには、日動火災側が納得できるようND2作戦事件についての処分を約束し、しばらく7時間を貸してほしいといったといわれる。
みるといった。
またまた待ちきれなくて一度目に電話を入れると、またまた別の部員がでて、ぶっきらぼうに「知らない」といった。
少々いらだって、「おたくの広報部は、ほんとうにジャーナリストやマスコミを相手にしともかくも、暮れもおしつまって、ND2作戦の中止指令が、横浜支店の連合軍総司令部にとんだわけだ。
時代がかったND2作戦も意外にあっけなく「終戦」となり、八八年早々から「戦後処理」がはじまった。
しかし、T海上は否を認めて降伏したかに見えるが、最初にND2作戦の中止を要求していた全損保を相手にしないで、日動火災トップとの「戦後処理」交渉で終わらせようとしていた。
業界の外部から取材に入った私にたいしては、できることならND2作戦そのものがなかったことにする、両社の「終戦処理」共同作戦の気配すらみせた。
「戦後処理」は敵も味方も共同作戦で「戦争」を仕掛けたT海上よりも被害者のはずの日動火災の側に、まずND2作戦についてのコメントを求めた。
「戦争」を仕掛けられた被害者の方が、「戦争」の実態を正直に語ってくれるだろうという、常識的な判断からだった。
日動火災本社広報部に最初に電話を入れたのは、そろそろ「戦後処理」も終わろうという八八年一月二一日のことだった。
電話にでた担当者に、T海上に抗議したE副社長に会いたいと申し込むと、ND2作戦そのものについて「まったく聞いていないので、確かめてみます」といった。
返事が待ちきれなくて一度目に電話を入れると、また別の広報部員がでて、やはり「知らなどといい、最初の部員に聞いてている広報部なのか」と、二度、確かめた。
「そうですよ」といったが、それなら知らないはずはない。
だが、隠している気配もなく、情報には敏感なはずの広報部も、ほんとうに知らされていなかった。
三人目の担当者が、ようやくトップに確かめたらしく、彼の方から電話があった。
だが、なにを聞いても、「日勤の方からお話する内容はございません」の一点張りだった。
「向こうさんがやられたことで、私もほんとうに知らなかったんです」ともいった。
私も、「E副社長にとりついでもらえないなら仕方がないので、御迷惑でも直接、副社長の自宅を訪ねる」といって、電話を切った。
日動火災の経営者も、このままではまずいと思ったのだろう。
夜も遅くなって、広報担当役員の宮沢充常務が電話をかけてきた。
宮沢常務も、部下に指示していわせたとおり、まず「日動の方からお話する内容はございません」といった。
すでに私が取材していたいくつかの事実をあげて確かめても、「向こうさんがやられたことで、そちらで調べていただくしかない」といった。
ただ、横浜支店長が内容証明を送りつけて抗議したという事実については、「私も長いあいだ横浜支店長をやっていましたが、T海上さんとは二○メートルしか離れていない近所同士であり、ありえない」と否定した。
言葉のふしぶしからも、事件を伏せておこうという意図がありありとわかった。
それでも、つぎのようにいった。
「私どもの業界は、公共的な商品を提供しているのですから、お客さまのためになるかどうかです。
非常識なやり方ではお客さんのためにならないですよ。
向こうに乗せられるのではなく、私たちは従来どおり正々堂々とやって、いい契約者サービスを提供することで競争すべきだと思っています」日動火災横浜支店長は、相手側の連合軍総司令官にたいして、ナチス・ドイツのヒトラー総統に見立てられたことになるが、当のN巧支店長も、宮沢常務とほぼ同様に、自分の側からのコメントは避けた。
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